世界を変えた10冊の本

世界を変えた10冊の本

世界を変えた10冊の本

10冊の本の簡単な解説。
分かりやすい文章はさすが池上さんといったところ。
個人的には池上さんのビジネスモデルが上手いなあと思う。


1.アンネの日記
少女の日記としてではなく、ユダヤ民族のアイディンティティを鼓舞する日記として広まる。
かわいそうな少女の日記、というイメージだったけどなあ。

2.聖書
欧米文化の基礎となった。
昔読んでみようと思ったけど長くてやめた。旧約は面白そうだけど新約は退屈そうだったなあ。

3.コーラン
ユダヤ経典、旧約・新約聖書に続く第3の書物。
コーランって普通に出版されてたんだ。

4.プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
プロテスタンティズムの職業に対するストイックさが資本主義の強欲さを生んだ。
名前だけはよく知ってた。結構批判もあるんだな。

5.資本論
労働者は余剰労働力を資本家に搾取されるが、訓練され、組織化された労働者により資本家は倒される。
学生時代に読んでおけばよかったかもしれない。

6.道標
ビンラディンの信仰の基礎になった本。
あまり興味なし。

7.沈黙の春
世界を環境問題に目覚めさせた書物。
あまり興味なし。

8.種の起源
生物学に大きな寄与。社会的ダーウィニズムの弊害は聞いたことある。

9.雇用、利子および貨幣の一般理論
ケインズ経済学。
ハーヴェイロードの前提条件がネックと。

10.資本主義と自由
フリードマン
トリクルダウンなんて詭弁だなあ。
経済人モデルと情報非対称性不存在が前提となりすぎてる。

橋下を倒すには。

橋下に反橋下派がボコボコにされてから1ヶ月経った。
橋下の施策がちょろちょろと報道されているのだけど、やはりこの人を倒す方法は2つしかないように見える。

1.補給線を断つ(同士討ち)
急進的に勢力を拡大すれば、当然補給線は長くなり、薄くなる。
維新の勢力が拡大していると言っても所詮は烏合の衆。
橋下は独裁者だし、孤独だ。
古今東西の独裁者は人を信頼しない。信頼しないのが強みであり、弱みでもある。
橋下の急進的な施策に追いついていけないグループが形成されるように工作して、同士討ちをさせる。


2.大阪の犠牲をもって、橋下を攻撃する材料とする
橋下が打ち出す施策案が議論を呼んでいる(小学生留年やら職員思想調査やら)。
議論を呼ぶということは相応の懸念があるわけだから、実際に施策が実行され、それで犠牲となった人の声によって橋下を攻撃するしかない。

東日本大震災や犯罪被害者制度でも思ったのだけど、基本的に「被害が発生して初めて、社会が変わろうとする」のだ。
防災力強化再考のきっかけは多くの死傷者が出た結果だし、犯罪被害者制度が被害者に配慮したものになったきっかけは、被害者の会会長の弁護士さんの妻殺害事件や光市母子殺害事件がきっかけだ。
今は橋下のターン。今は耐えて、次のターンで橋下を撃てるよう、流れる血を無駄にしてはいけない。

まあ座して死を待つわけにはいかないので、オブジェクションだけ飛ばしていこうと思う。
ぼやぼやしてたらターンが回ってこないし。

政治家の殺し方

政治家の殺し方

政治家の殺し方

主にスキャンダルの弁明等。

【内容】

・某市議から覚えのない恨みを買って、不倫騒動を仕掛けられた。

・スキャンダルを仕掛けられたのは、既得権益にメスを入れたから。既得権益とは、建設、公務員、風俗産業。建設は談合禁止し、公務員にはリストラを行い、風俗産業への規制を強化した。

・開国博の失敗により辞職したのではなく、選挙の日程から考えて市民のためになるよう辞職した

・マスコミはバカである。公務員も非常識。

【感想】
全体として弁明が多いような気がした。
「初めての店では(ホステスに)名刺を渡すこともあるし、携帯のアドレスを教えて欲しいと言われば断れない」→ちょっと脇が甘い。橋下市長だったらこんなことするだろうか?
堕ちるべくして堕ちた感じ。

そんなに悪い人ではないんだろうけどなー。

地域再生の経済学

地域再生の経済学―豊かさを問い直す (中公新書)

地域再生の経済学―豊かさを問い直す (中公新書)

古い本ですが。
神野先生の本。コミュニタリアンっぽい?
しかし古い地方のしきたりや慣習を嫌って都市の空気を形成した部分も大きいのでは。

1.市場主義ではない地域再生を。
フランスのストラスブールのように市民が自己決定し、自己負担する再生方式が理想。

2.グローバリゼーションにより地域コミュニティが破壊されている。

3.まず破綻しているセーフティネットを整備すべき。北欧では解雇規制緩和、手厚い失業給付、教育訓練の充実がリンクしている。

4.民活による地域再生は、都市部を偏重し地方を疲弊させる。地方には公共事業だけが残り、その公共事業も財政制約で激減した。

5.地域社会が重要。地方政府の自己決定権が必要。

6.所得税を地方に。交付税廃止して地方共有税を。


北欧をベースに展開。
しかし北欧もね、監視社会だしなあ。。
果たしてそこまでの覚悟が日本にあるのかな。なんか言ったら個人情報云々とか政府による管理云々とか言う人が多いと言うのに。
この本書いてからもう10年経つけど、そういう人の声って相変わらずでかくて憂鬱。

朝まで生テレビ「絶望の国の若者の幸福と夢」

録画したのをさっき見終わった。
前回の橋下に引き続き、大変興味深かったです。
前回に比べて随分柔らかい空気。いつもこんな感じなのかな?

【全体の感想】
荻上氏のための朝生だった。
・宋さんうるさかった。
千葉麗子はいらん。


【各人の印象】
東浩紀早稲田大学教授、40)
相変わらずキレがいい。
橋下やカタールの話もよかったよ。「変革は強者じゃないとできない。でもその恩恵によって弱者が救われてもいいじゃん、ていうのを橋下はもっと打ち出すべき」と。
正直僕もシステム論には橋下に賛成だけど、モレ出ているものにはかなり反感を覚える。


井戸実(エムグラントフードサービス代表、34)
ネットでは評判最悪のオッサンという印象があった。放送見てる限りは極めてドキュンというわけでもないのでは?アクの強いオーナー社長という感じであった。


猪子寿之(チームラボ代表取締役社長、34)
面白い人だった。
「結婚制度なんてやめちまえ。全部子どもを中心に制度設計したらいい」とか極論だけど理がある。
ムードメーカー。


荻上チキ(評論家、「シノドスジャーナル」編集長、30)
今回の朝生の一番の収穫。
素晴らしい論客だ。しかもほぼ同い年。
くそっ、30歳というのはこれくらいソフィスティケートされてないといかんのか。
理路整然、論理明確、知識・データもすごい。素晴らしいよ。
これだけすごけりゃ橋下とやり合えるのでは。
成城文学部から東大院か。成城大学ってマイナーなイメージだったけど、こんなすごい人もいるんだな。


熊谷俊人千葉市長、34)
若手政治家って感じのスタンスと振る舞いであった。
やっぱ若い首長っていいなー。
地方には若い人が増えてほしい。


宋文洲(経済評論家、ソフトブレーン創業者、48)
面白かったけどもうちょっと人の意見聞いてほしいな。
オーナー社長のアクの強さがよくも悪くも出ていた。井戸氏と同じ。


●高橋麻帆(ピースボート災害ボランティアセンター、32)
あんまり存在感なかったけど…。社民党の別働隊?的なイメージでした。
肌荒れてた。


千葉麗子(実業家、元女優、37)
すごく控え目に言ってかなりおバカだった。
トンチンカンな意見を無理やりねじ込んで述べてた。
あれだな、番組が番組だけに他人の意見をさえぎって自分の意見言うのもいいけど、だったらちゃんとしたこと言わないとダメだな。観客席にいた方がよかった。
隣が荻上氏だっただけに知性の差が際立った。


夏野剛(慶応大学特別招聘教授<政策メディア研究>、46)
もうなんかしゃべりなれまくってる感じ。夏野節でしたなあ。


古市憲寿東京大学大学院博士課程、27)
この議論の中心だったのだけど、途中から特に口を挟まなかったのは古市氏らしいやり方。
古市氏の考えは徹底したデタッチメントだなあと思う。
でも村上春樹だって地下鉄サリンでデタッチメントを止めていったのだから、古市氏もいずれ化けるかもしれない。
あと、彼が橋下市長を「かわいい目をした人ですよね」と言ったのはすごく重要な指摘。
そう、橋下にしろ石原にしろ、可愛い目をしているのだ。
ある記者が石原を支持する外国人記者に「なんで石原支持するの?」って聞いたら、「彼はキュートだからよ」という返答がきたらしい。
独裁者って、キュートなんだよね。というか、キュートさがないと独裁はできない。小泉だって、キュートだったでしょ。
古市氏って何気なく本質突いたことを結構言ってると思う(それをどう生かすとかは意識的に無関心なのだろうけど)。
彼はカナリアなんだろうな。
荻上氏が古市氏のデタッチメントを揶揄してたけど、カナリアにはカナリアの使命と生存戦略がある。



次回は311に放送みたい。細野大臣が出るそうなので、原発関連か。
原発問題はそんなに興味ないから見送りかなー。(と思ったけどできればまた見たい)

反橋下や脱原発を声高に主張する人達の弊害について

朝生で1月に橋下特集やって、2月は若者論だった。
で、若者論の中で千葉麗子氏が脱原発関係で無理やり話をねじ込んで、他のパネリストからシカトされていた。
それで、反橋下派(薬師院、香山リカなど)と脱原発派(千葉麗子山本太郎など)ってなんか似たような空気感じるなあと思ったのだった。

【感情の赴くままの人達】
いずれにも共通するのは感情的な極論であること。
感情的な、というのが重要で、橋下のような理詰めの極論とはまた少し違う。
感情も大切なのだけど、感情だけで社会を動かすことは困難。感情を基点として、思考ツールが必要。
2回の朝生や山本太郎氏の行動を見ていると、彼らには思考ツールが足りてないように見える。
相手が「論理武装してくるのなら、こちらは感情で」という発想。
一勢力、一個人の生存戦略としてはアリです。全然アリ。でもそれを一般化するのは無理がある。

でも彼らはそれを無理だと思っていない。なぜなら、彼及び彼らの身内(やファン)ではそれが成功しているから。そしてそれが成功しないのは、自分達の活動が不十分だからだと思っている。だから行動はよりラディカルに、感情的になって、理知的からは程遠くなっていく。


【本当の犠牲者は、その主張を本来すべき人達】
本当に犠牲となっているのは、それぞれ「橋下改革で犠牲を被る可能性の高い人達(例えば高齢者、非進学校など)」、「脱原発を志向する人達」だ。
本来重要である主張が、極論を感情的に唱える人達によってスポイルされていく。
オオカミ少年が声高に主張すればするほど犠牲になるのは村の人なのだ。


なんかこう書くと、感情による過剰な主張には何のメリットもないように見えるな。
言ってる本人は気持ちいいかもしれないけど。
後ろから弾を撃つ奴が一番タチが悪い。
(僕のスタンスはどちらかというと反橋下、脱原発ですが、これだけやらかされてしまった後では、そのマイナスを回復し世間に訴えることはかなりの苦労かと思います)

「追記」
ちなみに橋下支持する人間もこの傾向がある。多分典型的なB層なんだけど、つくづくまともな議論をスポイルしててもったいないと思う。
ま、どっちもどっちだね。バランスが一番大事。

もっとちゃんとまとめたかったけど、眠すぎなので寝ます。。。

光市母子殺害の元少年、死刑確定へ 最高裁、上告棄却

感想。


1.判決は妥当。
本村さんのこの13年はどんな地獄だったんだろうか。
無念余りある。せめて妥当な判決が下り、司法に良心が残っていてよかったと思う。
再婚してたと知って、どこかホッとした。孤独に戦っている姿を見て、この人は一生地獄を生きていくのだろうか、と思っていたから。


2.結局、無辜の誰かが犠牲にならないと制度は変わらない
前にクローズアップ現代で、ある弁護士が妻を殺されて、初めて被害者が蚊帳の外に置かれてることに気付き、犯罪被害者の会をまとめて司法を動かした話をしていた。
今回も話は同じで、犠牲者が出て、遺族が必死で動いて初めて少し制度が変わる。
裁判への被害者参加制度というのは、文字通り血の代償の上に築かれている。


3.叩いて溜飲を下げるのみでは何も進歩しない。
この被告がどういう人生を歩んできたのかについては、多くの人が知っておいた方がいいと思う。被告の育った環境とか、今の心境とか。
個人的には知りたいとは全く思わないけど、またこんな事件が起きないための一助となるのであれば、何でも活用した方がいい。
非道なことをしたから死刑、では何も変わらない。


4.死刑バンザイの大合唱に対する違和感
被告は鬼畜以下だし、弁護団はひどい弁護だった。荒唐無稽と批判されても仕方ない。また、少年法についても疑問が残る。人を殺める重大さは、少年も何も関係ない。不遇な生い立ちを情状酌量に使うのは、同じように不遇な生い立ちをしながらも真っ当に生きている人達に対する侮辱。
最初に書いたとおり、死刑やむなし。

その一方で、死刑確定に凱歌を上げるネットの声に違和感を感じる。
本村さんの心中はおそらく会見通りだと思う。「満足だが、うれしいという感情はない」。
だって、死刑確定したからって死んだ人は戻ってこないから。
でも(だから、というか)、ネットで見られるような意見である死刑の大合唱には違和感を覚える。

多分、すごくネットの声ってインスタントなんだよな。
本村さんはそれこそ13年間地獄と向き合って、そして死刑を導いた。
その過程で本当にいろんなことに思い悩んだと思うし、だからこそああいう会見になったのだと思う。
その一方で、ネットの声は実に安直で軽くて…なんというか、こういう脊髄反射的な反応が実に憂鬱に感じる。

こういう声がマジョリティとなって反対者を十把一絡げに血祭りに挙げていくのだろう。
橋下がやったように。

今回の判決にホッとした一方で、ネットの声を見ていて実に暗い気持ちになった。