光市母子殺害の元少年、死刑確定へ 最高裁、上告棄却

感想。


1.判決は妥当。
本村さんのこの13年はどんな地獄だったんだろうか。
無念余りある。せめて妥当な判決が下り、司法に良心が残っていてよかったと思う。
再婚してたと知って、どこかホッとした。孤独に戦っている姿を見て、この人は一生地獄を生きていくのだろうか、と思っていたから。


2.結局、無辜の誰かが犠牲にならないと制度は変わらない
前にクローズアップ現代で、ある弁護士が妻を殺されて、初めて被害者が蚊帳の外に置かれてることに気付き、犯罪被害者の会をまとめて司法を動かした話をしていた。
今回も話は同じで、犠牲者が出て、遺族が必死で動いて初めて少し制度が変わる。
裁判への被害者参加制度というのは、文字通り血の代償の上に築かれている。


3.叩いて溜飲を下げるのみでは何も進歩しない。
この被告がどういう人生を歩んできたのかについては、多くの人が知っておいた方がいいと思う。被告の育った環境とか、今の心境とか。
個人的には知りたいとは全く思わないけど、またこんな事件が起きないための一助となるのであれば、何でも活用した方がいい。
非道なことをしたから死刑、では何も変わらない。


4.死刑バンザイの大合唱に対する違和感
被告は鬼畜以下だし、弁護団はひどい弁護だった。荒唐無稽と批判されても仕方ない。また、少年法についても疑問が残る。人を殺める重大さは、少年も何も関係ない。不遇な生い立ちを情状酌量に使うのは、同じように不遇な生い立ちをしながらも真っ当に生きている人達に対する侮辱。
最初に書いたとおり、死刑やむなし。

その一方で、死刑確定に凱歌を上げるネットの声に違和感を感じる。
本村さんの心中はおそらく会見通りだと思う。「満足だが、うれしいという感情はない」。
だって、死刑確定したからって死んだ人は戻ってこないから。
でも(だから、というか)、ネットで見られるような意見である死刑の大合唱には違和感を覚える。

多分、すごくネットの声ってインスタントなんだよな。
本村さんはそれこそ13年間地獄と向き合って、そして死刑を導いた。
その過程で本当にいろんなことに思い悩んだと思うし、だからこそああいう会見になったのだと思う。
その一方で、ネットの声は実に安直で軽くて…なんというか、こういう脊髄反射的な反応が実に憂鬱に感じる。

こういう声がマジョリティとなって反対者を十把一絡げに血祭りに挙げていくのだろう。
橋下がやったように。

今回の判決にホッとした一方で、ネットの声を見ていて実に暗い気持ちになった。